住宅の劣化の兆候にはどのようなものがありますか?
腐朽もシロアリの食害も、床下、小屋裏や壁の中で密かに進行するため、住まい手にとっては非常にわかりにくいものです。「床がふわふわする」「部材に水シミ状の変色がある」「白綿状の付着物が見られる」「弾力がない」などの症状は腐朽と関連づけることができます。
「部材の表面に弾力がない」「小さな穴が開いている」「部材と部材の隙間に土のようなものが詰まっている」などの症状はシロアリか甲虫の食害と関連づけることができます。
内断熱と外張り断熱で、耐久性は異なりますか?
大きな差はありませんが、耐久性確保のための工夫は必要です。 基礎の外張り断熱の場合、周囲の土壌からシロアリが侵入しやすくなるため注意が必要です。また、結露しやすい位置に木部があると、そこから腐朽が発生する可能性があります。実際の結露発生は、その土地の気候や環境、住まい方(冷暖房の運転条件)にも依存しますので、定期的な点検によって早期対策が必要となります。
瑕疵担保責任の対象となる部分はどこですか?
新築住宅の瑕疵担保責任は、10年間義務づけられています。 基礎や壁などの「構造耐力上主要な部分」および屋根や外壁などの「雨水の侵入を防止する部分」が該当します。
【木造(在来軸組構法)の戸建て住宅】
2階建ての場合の骨組みの構成
● 構造耐力上主要な部分
住宅の基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組み、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他)、床板、屋根版又は構架材(はり、けたその他)で、当該住宅の自重若しくは積載荷重、積雪、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動もしくは衝撃を支えるものとする。
● 雨水の浸入を防止する部分
住宅の屋根若しくは外壁又はこれらの開口部に設ける戸。わくその他の建具。また、雨水を排除するため住宅に設ける配水管のうち、当該住宅の屋根若しくは外壁の内部又は屋内にある部分。
雨漏りを起こしやすい部分はどこ?
木造住宅では、屋根、外壁およびバルコニーが雨漏りを起こしやすい部分といわれています。
シロアリの被害を受けやすい部分はどこ?
図は、2004年から2005年にかけて関東甲信越の5000棟余りの住宅を対象に蟻害部材を調べた結果です。 主にヤマトシロアリが分布するこれらの地域では、湿りがちな部材である土台・床組材、水廻り材、一部の軸組材に被害が集中していることが分かります。近年は、玄関、勝手口の上り框にも被害が多いようです。
※引用 建築知識No.623 「部材別蟻害の割合」
被害率=各部材にシロアリ被害が認められた建物数/全調査建物数(4,944棟)関東甲信越の1都9県
木造住宅をシロアリから守るにはどのようにすればよいのでしょう?
わが国に生息し住宅に大きな被害をあたえるシロアリは、イエシロアリとヤマトシロアリの2種類です。
■ イエシロアリは九州、四国、本州南岸など温暖な地域に生息します。
■ ヤマトシロアリは、低温に強いため北海道以南に広く分布します。
地域を考慮して、シロアリを効果的に遮るバリアが必要です。
土壌性シロアリ | ヤマトシロアリ | 北海道北部を除く、ほぼ全国に分布 |
イエシロアリ | 関東以西以南に分布 | |
乾材シロアリ | アメリカカンザイシロアリ | 全国に点在 |
木造工法の改善や防蟻処置のおかげで、昔に比べて被害は減少していますが北限が上昇しています。 >>防蟻工事のようす。
シロアリから守る、化学的バリアと物理的バリアはどのような違いですか?
化学的バリアとは、防蟻薬剤を用いるもので、土壌処理、防蟻シート敷設などの方法があります。
物理的バリア、物理的にシロアリの接近を妨げるものをいい、
ベタ基礎もそのひとつです。最近で金網や特殊な粒径サイズの粒状物などにも実用化されています。
図は、物理的バリアの一例(ケミカルフリー工法)で、現在モデルハウスで取り入れています。
アメリカンザイシロアリとはどのようなシロアリですか?
アメリカンザイシロアリは、1976年に日本に侵入が確認された新しい外来種のシロアリです。2010年末時点で、宮城県から縄県まで26都府県で被害が確認されており、国内に広く分布していると考えられます。
被害家屋から、羽アリが飛翔して周囲の家屋の木材に侵入し、被害が拡大していきます。 侵入を完全に防ぐには、家屋外回りのすべての木材を薬剤処理する、あるいは木材をすべて隠すしかありませんが、とても現実的だとはいえません。
※出典:木材と木造住宅Q&A 住木センター、最新データによる木材・木造住宅のQ&A