上棟式
上棟式(じょうとうしき)とは、日本で建物の新築の際に行われる神道の祭祀です。棟上げ(むねあげ)、建前(たてまえ)、建舞(たてまい)ともいいます。
上棟式とは?
無事棟が上がったことを喜び、感謝、祈願する儀式ですが、竣工後も建物が無事であるよう願って行われるもので、通常、柱・棟・梁などの基本構造が完成して棟木を上げるときに行われます。
上棟式は建築工事の途中で行う儀式ですので、工法にもよりますが概ねこのような時期に行われます。
1、木造軸組では棟木を棟に上げる時
2、鉄骨造では鉄骨工事が完了した時
3、鉄筋コンクリート造では躯体コンクリートの打ち込みが終了した時
※棟木とは? 棟木は、屋根の一番高いところに取りつける横木のことです。構造的には、棟木は母屋と共に 屋根の荷重を、小屋束から梁へ伝える役目を果たしています。
式の方法や次第には神社の祭祀のような規定はなく、地域による差異もあります。
上棟式特有の儀礼として、曳綱の儀(棟木を曳き上げる)、槌打の儀(棟木を棟に打ちつける)、 散餅銭の儀(餅や銭貨を撒く)が行われます。
上棟式の服装・日取り
地鎮祭と同様、個人宅の場合はそこまで服装にこだわりませんので、基本的には施主が自由に決めることになります。普段着ている服装で構いません。
地鎮祭と同様、慣例的には吉日を選んで行なわれることが多いようです。ただし、工事のはじまり早々から近所の人に迷惑になることへの配慮から、できるだけ日曜日は避けて行われます。
上棟式に準備するもの
地域によって差異がありますが、一般には、魔よけのための幣束(へいそく)を鬼門に向けて立て、四隅の柱に酒や塩、米などをまき、天地四方の神様を拝みます。
同時に棟札に上棟年月日、建築主などを書き、棟梁が一番高い棟木に取り付けなどを行います。
上棟式の歴史
上棟式は、古く平安時代初期から行なわれ、中世に盛んとなったと伝えられています。
江戸時代になって、居礎(いしずえ)・事始め・手斧始め(ちょうなはじめ)・立柱・上棟、軒づけ・棟つつみ等の建築儀式を代表する形で、上棟式だけが行なわれるようになりました。
おかめの物語
大報恩寺(京都市上京区:千本釈迦堂)の本堂を造営する際、大工の棟梁であった高次が代りのない柱の寸法を切り誤ってしまい困っていたそうです。それを見た妻のおかめが枡組を用いたらどうかとひと言アドバイスし、その結果無事に竣工させることができました。しかし、おかめは女の提案で大任を果たしたことが知れてはと上棟式を待たずに自害してしまったそうです。高次は妻の冥福を祈り宝篋印塔(おかめ塚)を建て、おかめの名にちなんだ福面を付けた扇御幣を飾ったとされています。その後、大工の信仰を得るようになり今日でも上棟式にはお多福の面を着けた御幣が飾られています。
この伝説から、京都で上棟式を行うときおかめの面を御幣に付ける習慣があります。
また、おかめ=お多福には、福が多いということから縁起がよいとされています。